旅と本が好きな30代サラリーマンのブログ

好きな旅行や本のことについて書いています。

『メモの魔力』(前田裕二/幻冬舎)が人生を変える理由

この世の中の事象がすべて、「科学的」と「非科学的」の二項対立だったとして。

「魔力」とはどちらだろう。おそらく、「非科学的」な方に分類されるのではないだろうか。

しかし、そのタイトルとは裏腹に、この本には「科学」に裏打ちされたエッセンスが詰まっている。

 

前田裕二さんの著書は前著『人生の勝算』も拝読し、非常に良い本だ、という印象があった。

でも正直なところ、今作を最初に知った時は、その一見怪しげなタイトルに、触手が伸びずにいた。

それから数ヶ月の時を経て読んだ後、痛感した。「もっと早く読むべきだった」と。

 

この本の本質は「魔力」などという非科学的なものではない。

サイエンスであり、ロジックだ。

 

メモを書くことで、思考が飛躍的に深まる。

そして、巻末の「自己分析1000問」に象徴されるように、自己内省も深まっていく。

脳内に存在している時点では曖昧なものだった「思考」が外在化され、可視化されることで整理されるからだろう。

 

「PCにタイピングでメモをするのと、手書きでメモをするのでは、使う脳神経細胞の数が何百倍も違う」という話を以前、脳科学系の本で読んだことを思い出した。

そういった観点からもやはり、これは「サイエンス」だ。

 

私は本を読む時は必ず、線を引いた部分を別途、メモにまとめているが、この本に関しては、見返してみるとそのメモがまあ、長い長い。

いつだったかテレビ番組で拝見した、ご本人のiphoneのメモと互角なくらい、長くなってしまった。

 

具体的な内容はぜひ本書をお読み頂きたい(というか、ぜひ読むべきだ)と思うけれど、最後に一言だけ、「この本は人生に変革を起こす」ということだけ記しておきたいと思う。

何を隠そう、引きこもり根暗ニートな性格の私が、ブログやTwitterを初めてみようと思い立ったのも、この本から得た知見を「抽象化」し、「転用」したことがきっかけとなっている。

(「抽象化」も「転用」も本書のキーワードだ)

 

 

人生を変える「魔力」を手にするための投資対効果を考えると、安すぎる買い物でした。

 

 

面接で勝負を分ける「7%」

ほとんどの人が、たった「7%」のことにとらわれるあまり自滅する。

これは、私が新卒の就職活動時に大きく感銘を受けた教えだ。

 

その「7%」とは、「話の内容」のことだ。

社会心理学に「メラビアンの法則」という概念がある。

これは「相手に与える印象の構成要素」を数値化したものだ。

 

具体的には、

視覚情報(表情、姿勢、仕草など)が55%。

聴覚情報(声のトーン、大きさ、速さなど)が38%。

言語情報(話の内容)が7%だという。

 

最も気を取られがちな「話の内容」は、たった7%でしかない。

ほとんどの人は、その7%(何を話すか)ばかりに気を取られ、残り93%が疎かになっている。

「頭が良い」「話す内容がしっかりしている」だけでは評価されないというのは、数字で見れば当然の結果だ。

 

私は新卒の就職活動当時、この「55・38・7」という言葉を呪文のように唱えていた。

集団面接で他の学生が、「自信なさげな表情」や「うわずった小さな声」で話をするのを横目に、「55%」と「38%」の部分にフォーカスしていた。

 

具体的には、「口角を上げる」「姿勢を正す」「発声を研究する」など、非常にシンプルなことばかりなのだが、そこに意識を向けることができている人間が、意外なほどに少ないのだ。

私も実際にやっていたが、模擬面接の様子などを録画し、自分で見てみると、自分でも驚くほどできていなかった。

 

結果として、第一希望の業界のトップ企業から内定を得ることができた。

さらに、その後の入社式では、新入社員代表として、社長及び役員100名近くを前に、代表挨拶までさせて頂いた。

他にも、まだ就職氷河期を抜けきっていない時代だったにもかかわらず、業種を問わず複数の企業から内定を頂いた。

 

このシンプルな教えは、社会に出てからはもちろん、その後の転職活動など、あらゆる場面で大いに役に立っている。

転職のたびに、私は「入社したいと思った企業」から、全て内定を得てきた。

「真面目で頭も良いのに、イマイチうまくいかない」という人は、騙されたと思って一度、「55%」と「38%」の部分を見直してみてはいかがだろう。

メモは「手書き」にするべき3つの理由

最近、「メモ活」が一種のブームだ。

メモに関する書籍も多く出ており、大ベストセラーになったものもある。

 

一方で、世の中はデジタル全盛。

わざわざ紙とペンでメモをしなくても、PCでタイピングでも良いし、スマホフリック入力や音声入力の方が早くて便利、という人も多いだろう。

 

それらの関連書籍を10冊以上は読み、また自分でも実践していく中で、「なぜ、手書きの方が良いのか?」という3つの理由にたどり着いた。

 

①活動する神経回路の数

手書きをする時に使われる脳の神経回路は約1万種類。

一方で、PCでタイピングする際に使われるのは、たった8種類だそう。

手書きをすることにより、脳が活発に働き、より効果的な記憶の強化や思考の整理につながる。

 

②アルファベットへの脳内変換による、認知リソースの消費

PCでタイピングをする時、一般的にはローマ字で打ち込むことが多いだろう(例:「た」と入力したい場合は「TA」のように)。

この時に、脳内で日本語とアルファベットを行き来することで、脳の認知リソースを余計に消費してしまう、という説がある。

 

③相手に与える印象

相手の年代などによっては、PCやスマホでメモを取ることをよく思わない方もまだ多いだろう。

この場合は、「失礼にあたらないように」という観点で、メモは手書きで取った方が望ましい。



<まとめ>

メモは「手書き」にするべき3つの理由

①活動する神経回路の数

②アルファベットへの脳内変換による、認知リソースの消費

③相手に与える印象

子どもに言ってはいけない言葉

先日、ランチに入ったファミリーレストランでのこと。

僕のすぐ近くの席に、小さな男の子2人とお母さんのご家族連れがいた。

 

「1人で男の子2人を見るのは大変だなあ」なんて思いながら過ごしていたのだが、聞こえてくる会話に、少し気になる点があった。

 

「走らないで」

「騒がないで」

「寝転がらないで」

そのお母さんが子どもたちに向ける言葉が、全て「〇〇しちゃダメ」「〇〇しないで」といった、否定形の言葉ばかりだったのだ。

 

人間の脳は、「否定形を認識できない」という性質を持っている。

例えば、こう言われたらどうだろう。

「今から、シロクマのことを、絶対に考えないでください」と。

 

ほとんどの人は(というか、人間であれば100%なのだが)、必ずシロクマのことが頭に浮かんでしまう。

人間の脳は、「ない」ものが、理解できないのだ。

 

「走らないで」と言われても、脳は「走る」状態をイメージしてしまう。

「騒がないで」と言われても、脳は「騒ぐ」状態をイメージしてしまう。

 

そして、脳は「意識を向けたものを実現しようと働く」という性質も持っている。

引き寄せの法則」という言葉があるが、これも「脳が意識を集中させたものが実現する」という現象にすぎない。

 

だから、「〇〇しない」という言葉を発しても、脳は「〇〇」の部分だけに反応し、その状態をイメージしてしまう。

すると、脳は無意識的に、「〇〇」を実現するために働き始める。

 

少なくとも、脳科学的な観点から言えば、以下のような言い方をした方が、はるかに効果的ということになる。

「ゆっくり歩いてね」

「静かにしてね」

「ちゃんと座っててね」

 

<まとめ>

・人間の脳は、「否定形(ないもの)を認識できない」という性質を持っている。

・人間の脳は、「意識を向けたものを実現しようと働く」という性質を持っている。

・何かを否定形で言いそうになったら、肯定形に言い換えられないか考えてみる。

 

【映画評】『ホテル・ムンバイ』

強く感銘を受けた映画に対して、どう形容するのが適切だろうか。

 

「素晴らしかった」「とにかく凄かった」「感動した」「◯◯賞級だ」「全米が泣いた

 

どれも違う。

個人的な正解はきっと、「できるだけ多くの人に観て欲しい」ではないかと、この映画『ホテル・ムンバイ』を観て気付かされた。

今年観た映画はこれで68本目になるけれど、三者にこのように薦めたいと思ったのは初めてだ。

 

「家族としての使命」、「職業としての使命」、「信仰心と宗教観」、「貧困と格差」。

これらが2時間の間、死が常に隣り合わせにある圧倒的なリアリティと臨場感の中、息もつかせぬまま描かれていく。

それに付随して、「この場面で自分だったらどう判断し、どう行動するだろうか」という主観的思考が刺激され続ける。

相対性理論」とはこのことか、と感じるほどに、時間の感覚は崩壊し、我に返ると物語はエンドロールを迎えていた。

 

ストーリーやテーマの特性上、絶対的なハッピーエンドではないけれど、「この映画に出逢えて良かった」、そう思える作品でした。

gaga.ne.jp

 

 

自己紹介(プロフィール)

長野県出身の39歳。

明治大学を卒業後、オンワード樫山ジョンソン・エンド・ジョンソン等に勤務。現在はまた別の外資系メーカーに在籍中。

趣味は読書(年間300冊程度)、旅行、デジタルガジェット、犬と猫。

就・転職、仕事術、書評、旅行等について書いていきます。

Blog:yi423.com

Twitter:@tabihonkoe