『メモの魔力』(前田裕二/幻冬舎)が人生を変える理由
この世の中の事象がすべて、「科学的」と「非科学的」の二項対立だったとして。
「魔力」とはどちらだろう。おそらく、「非科学的」な方に分類されるのではないだろうか。
しかし、そのタイトルとは裏腹に、この本には「科学」に裏打ちされたエッセンスが詰まっている。
前田裕二さんの著書は前著『人生の勝算』も拝読し、非常に良い本だ、という印象があった。
でも正直なところ、今作を最初に知った時は、その一見怪しげなタイトルに、触手が伸びずにいた。
それから数ヶ月の時を経て読んだ後、痛感した。「もっと早く読むべきだった」と。
この本の本質は「魔力」などという非科学的なものではない。
サイエンスであり、ロジックだ。
メモを書くことで、思考が飛躍的に深まる。
そして、巻末の「自己分析1000問」に象徴されるように、自己内省も深まっていく。
脳内に存在している時点では曖昧なものだった「思考」が外在化され、可視化されることで整理されるからだろう。
「PCにタイピングでメモをするのと、手書きでメモをするのでは、使う脳神経細胞の数が何百倍も違う」という話を以前、脳科学系の本で読んだことを思い出した。
そういった観点からもやはり、これは「サイエンス」だ。
私は本を読む時は必ず、線を引いた部分を別途、メモにまとめているが、この本に関しては、見返してみるとそのメモがまあ、長い長い。
いつだったかテレビ番組で拝見した、ご本人のiphoneのメモと互角なくらい、長くなってしまった。
具体的な内容はぜひ本書をお読み頂きたい(というか、ぜひ読むべきだ)と思うけれど、最後に一言だけ、「この本は人生に変革を起こす」ということだけ記しておきたいと思う。
何を隠そう、引きこもり根暗ニートな性格の私が、ブログやTwitterを初めてみようと思い立ったのも、この本から得た知見を「抽象化」し、「転用」したことがきっかけとなっている。
(「抽象化」も「転用」も本書のキーワードだ)
人生を変える「魔力」を手にするための投資対効果を考えると、安すぎる買い物でした。
面接で勝負を分ける「7%」
ほとんどの人が、たった「7%」のことにとらわれるあまり自滅する。
これは、私が新卒の就職活動時に大きく感銘を受けた教えだ。
その「7%」とは、「話の内容」のことだ。
これは「相手に与える印象の構成要素」を数値化したものだ。
具体的には、
視覚情報(表情、姿勢、仕草など)が55%。
聴覚情報(声のトーン、大きさ、速さなど)が38%。
言語情報(話の内容)が7%だという。
最も気を取られがちな「話の内容」は、たった7%でしかない。
ほとんどの人は、その7%(何を話すか)ばかりに気を取られ、残り93%が疎かになっている。
「頭が良い」「話す内容がしっかりしている」だけでは評価されないというのは、数字で見れば当然の結果だ。
私は新卒の就職活動当時、この「55・38・7」という言葉を呪文のように唱えていた。
集団面接で他の学生が、「自信なさげな表情」や「うわずった小さな声」で話をするのを横目に、「55%」と「38%」の部分にフォーカスしていた。
具体的には、「口角を上げる」「姿勢を正す」「発声を研究する」など、非常にシンプルなことばかりなのだが、そこに意識を向けることができている人間が、意外なほどに少ないのだ。
私も実際にやっていたが、模擬面接の様子などを録画し、自分で見てみると、自分でも驚くほどできていなかった。
結果として、第一希望の業界のトップ企業から内定を得ることができた。
さらに、その後の入社式では、新入社員代表として、社長及び役員100名近くを前に、代表挨拶までさせて頂いた。
他にも、まだ就職氷河期を抜けきっていない時代だったにもかかわらず、業種を問わず複数の企業から内定を頂いた。
このシンプルな教えは、社会に出てからはもちろん、その後の転職活動など、あらゆる場面で大いに役に立っている。
転職のたびに、私は「入社したいと思った企業」から、全て内定を得てきた。
「真面目で頭も良いのに、イマイチうまくいかない」という人は、騙されたと思って一度、「55%」と「38%」の部分を見直してみてはいかがだろう。
メモは「手書き」にするべき3つの理由
最近、「メモ活」が一種のブームだ。
メモに関する書籍も多く出ており、大ベストセラーになったものもある。
一方で、世の中はデジタル全盛。
わざわざ紙とペンでメモをしなくても、PCでタイピングでも良いし、スマホのフリック入力や音声入力の方が早くて便利、という人も多いだろう。
それらの関連書籍を10冊以上は読み、また自分でも実践していく中で、「なぜ、手書きの方が良いのか?」という3つの理由にたどり着いた。
①活動する神経回路の数
手書きをする時に使われる脳の神経回路は約1万種類。
一方で、PCでタイピングする際に使われるのは、たった8種類だそう。
手書きをすることにより、脳が活発に働き、より効果的な記憶の強化や思考の整理につながる。
②アルファベットへの脳内変換による、認知リソースの消費
PCでタイピングをする時、一般的にはローマ字で打ち込むことが多いだろう(例:「た」と入力したい場合は「TA」のように)。
この時に、脳内で日本語とアルファベットを行き来することで、脳の認知リソースを余計に消費してしまう、という説がある。
③相手に与える印象
相手の年代などによっては、PCやスマホでメモを取ることをよく思わない方もまだ多いだろう。
この場合は、「失礼にあたらないように」という観点で、メモは手書きで取った方が望ましい。
<まとめ>
メモは「手書き」にするべき3つの理由
①活動する神経回路の数
②アルファベットへの脳内変換による、認知リソースの消費
③相手に与える印象
子どもに言ってはいけない言葉
先日、ランチに入ったファミリーレストランでのこと。
僕のすぐ近くの席に、小さな男の子2人とお母さんのご家族連れがいた。
「1人で男の子2人を見るのは大変だなあ」なんて思いながら過ごしていたのだが、聞こえてくる会話に、少し気になる点があった。
「走らないで」
「騒がないで」
「寝転がらないで」
そのお母さんが子どもたちに向ける言葉が、全て「〇〇しちゃダメ」「〇〇しないで」といった、否定形の言葉ばかりだったのだ。
人間の脳は、「否定形を認識できない」という性質を持っている。
例えば、こう言われたらどうだろう。
「今から、シロクマのことを、絶対に考えないでください」と。
ほとんどの人は(というか、人間であれば100%なのだが)、必ずシロクマのことが頭に浮かんでしまう。
人間の脳は、「ない」ものが、理解できないのだ。
「走らないで」と言われても、脳は「走る」状態をイメージしてしまう。
「騒がないで」と言われても、脳は「騒ぐ」状態をイメージしてしまう。
そして、脳は「意識を向けたものを実現しようと働く」という性質も持っている。
「引き寄せの法則」という言葉があるが、これも「脳が意識を集中させたものが実現する」という現象にすぎない。
だから、「〇〇しない」という言葉を発しても、脳は「〇〇」の部分だけに反応し、その状態をイメージしてしまう。
すると、脳は無意識的に、「〇〇」を実現するために働き始める。
少なくとも、脳科学的な観点から言えば、以下のような言い方をした方が、はるかに効果的ということになる。
「ゆっくり歩いてね」
「静かにしてね」
「ちゃんと座っててね」
<まとめ>
・人間の脳は、「否定形(ないもの)を認識できない」という性質を持っている。
・人間の脳は、「意識を向けたものを実現しようと働く」という性質を持っている。
・何かを否定形で言いそうになったら、肯定形に言い換えられないか考えてみる。
【映画評】『ホテル・ムンバイ』
強く感銘を受けた映画に対して、どう形容するのが適切だろうか。
「素晴らしかった」「とにかく凄かった」「感動した」「◯◯
どれも違う。
個人的な正解はきっと、「できるだけ多くの人に観て欲しい」
今年観た映画はこれで68本目になるけれど、
「家族としての使命」、「職業としての使命」、「信仰心と宗教観」、「
これらが2時間の間、
それに付随して、「この場面で自分だったらどう判断し、
「相対性理論」とはこのことか、と感じるほどに、
ストーリーやテーマの特性上、