この世の中の事象がすべて、「科学的」と「非科学的」の二項対立だったとして。
「魔力」とはどちらだろう。おそらく、「非科学的」な方に分類されるのではないだろうか。
しかし、そのタイトルとは裏腹に、この本には「科学」に裏打ちされたエッセンスが詰まっている。
前田裕二さんの著書は前著『人生の勝算』も拝読し、非常に良い本だ、という印象があった。
でも正直なところ、今作を最初に知った時は、その一見怪しげなタイトルに、触手が伸びずにいた。
それから数ヶ月の時を経て読んだ後、痛感した。「もっと早く読むべきだった」と。
この本の本質は「魔力」などという非科学的なものではない。
サイエンスであり、ロジックだ。
メモを書くことで、思考が飛躍的に深まる。
そして、巻末の「自己分析1000問」に象徴されるように、自己内省も深まっていく。
脳内に存在している時点では曖昧なものだった「思考」が外在化され、可視化されることで整理されるからだろう。
「PCにタイピングでメモをするのと、手書きでメモをするのでは、使う脳神経細胞の数が何百倍も違う」という話を以前、脳科学系の本で読んだことを思い出した。
そういった観点からもやはり、これは「サイエンス」だ。
私は本を読む時は必ず、線を引いた部分を別途、メモにまとめているが、この本に関しては、見返してみるとそのメモがまあ、長い長い。
いつだったかテレビ番組で拝見した、ご本人のiphoneのメモと互角なくらい、長くなってしまった。
具体的な内容はぜひ本書をお読み頂きたい(というか、ぜひ読むべきだ)と思うけれど、最後に一言だけ、「この本は人生に変革を起こす」ということだけ記しておきたいと思う。
何を隠そう、引きこもり根暗ニートな性格の私が、ブログやTwitterを初めてみようと思い立ったのも、この本から得た知見を「抽象化」し、「転用」したことがきっかけとなっている。
(「抽象化」も「転用」も本書のキーワードだ)
人生を変える「魔力」を手にするための投資対効果を考えると、安すぎる買い物でした。